では、どうぞ!
カシオン達が佐藤重工に向かうその前、よつばはいつも通りに北星の研修を任されていた。
その日の朝 名古屋駅 待機室
よつば「ふぅ…さて、北星さんを迎えにいかなくちゃ…」
駅員「よつばさん、お電話です!」
よつば「え、私?」
よつば「はい、もしもし?」
コールセンター「よつばさんですね、お電話が入っておりますので繋げますね」
よつば「はい、お願いします」
⁇?「もしもし、北星の研修を担当されてる方ですか?」
よつば「え、はい。そうですが…」
⁇?「初めまして、私は北星の父親でごさいます」
よつば「あーはいはい…って、ええぇぇぇぇ⁈」
北星の父「突然お電話してすいません」
よつば「いえいえ‼︎あっ…申し遅れました!私は北星さんの研修を担当してます、よつばと申します!」
よつば「(北星さんの父親が、まさかこんな時に電話してくるなんて…)」
北星の父「実は、よつばさんに今日の研修の事でお話したい事がありまして」
よつば「はい、何でしょうか?」
北星の父「佐藤重工をご存知ですか?」
よつば「えぇ、米原の車両製造工場ですよね?」
北星の父「実は、今日その工場に北星を連れて行ってほしいのです」
よつば「え、どうしてですか?」
北星の父「来てみれば分かります、あなたにも少しお手伝いをしてほしいので」
よつば「私に?」
北星の父「とりあえず、詳しい事はそちらで話します。JR東海からは許可も得ていますので、もちろん私も佐藤重工に行きます」
よつば「わ…分かりました」
よつば「…とりあえず、北星さんに連絡しないと…」
プルルルルルルルル…
よつば「…あ、米原駅長ですか?」
駅長「はい、こちら米原駅長です」
よつば「そちらの寮にいる北星さんに電話を繋いで下さい」
駅長「少々お待ちください」
よつば「…」
北星「はい、もしもし」
よつば「北星さん」
北星「よつばさん?」
よつば「今日の研修は中止です」
北星「え、どうして…」
よつば「ちょっと佐藤重工に呼ばれたので、北星さんもそちらに行きますので」
北星「場所はどこですか?」
よつば「米原なので、北星さんは私が着くまで待機していて下さい」
北星「分かりました」
よつば「じゃあ…米原に向かいましょう」
それから数時間後…
米原駅 改札口
北星「あっ、よつばさん!」
よつば「突然ごめんなさいね…あなたのお父さんからお電話があってね」
北星「え⁉︎お父さんから⁈」
佐藤重工株式会社
よつば「ここよ」
北星「こんなに大きい工場だったなんて…」
よつば「あら?」
カシオン「え?」
北星「か…カシオン⁉︎」
森岡「え⁉︎何でみなさんがここに⁉︎」
カシオン「北星はどうしてここに⁉︎」
北星「私はよつばさんとここの工場の見学に…」
カシオン「あ…そうだったの…」
北星「カシオンと森岡さんは…仕事で?」
カシオン「うん、ちょっといろいろあってね」
よつば「北星さん、行くわよ?」
北星「あ、はい!じゃあねカシオン」
佐藤重工株式会社 ロビー
よつば「すいません、今日こちらに呼ばれたよつばですが…」
社員「あ、よつばさんですね!会議室で皆さんお待ちです。場所はこの先の突き当たりを左に行った場所にあります」
よつば「ありがとうございます」
北星「一体お父さんが何で私とよつばさんを呼んだのでしょうか…?」
よつば「正直分からないけど、この工場に来るからには何かあるわ」
北星「あ、あれじゃないですか?」
よつば「何か立て札があるわね…」
ウェディングトレイン号製作会議
北星「は…?ウェディングトレイン?」
よつば「結婚用の電車って事なのかしら…(汗)」
佐藤重工株式会社 会議室
ガチャ…
よつば「失礼します…」
北星の父「来てくれましたね」
北星「お父さん‼︎」
北星の父「おー北星、久しぶりだなw」
北星「それより、何でお父さんがここに⁉︎」
北星の父「いろいろあってな…」
⁇?「おやっさん、そろそろ始めましょう」
⁇?「そうですよ」
北星の父「おぉ、そうだな」
北星「ん?その人は?」
北星の父「紹介しよう、今回のプロジェクトに協力してもらう「トラル」と「ミカン」だ」
トラル「トラルだ、よろしく」
ミカン「ミカンよ、よろしくね」
北星「よろしくお願いします」
よつば「よろしくお願いします」
よつば「それで、私達は何をすれば?」
北星の父「まあ、デザインをいろいろ考えてほしいのだ」
北星「デザイン?」
北星の父「北星、今回のプロジェクトは、お前の結婚式用の列車を作るんだ」
北星「えぇ⁉︎」
よつば「まさか、ウェディングトレインって…」
北星の父「結婚式専用列車だ」
トラル「今回の列車はJR九州の協力があったからこそ行なわれるイベントだ」
ミカン「私達はJR九州の職員だけど、今回のプロジェクトには上からも期待されてるの。この結婚式専用列車に、私達は全力で挑むつもりよ」
北星「まさか…結婚式を挙げる事を聞いて…こんなプロジェクトを?」
北星の父「あぁ、そうだ」
北星「…」
よつば「では、どんなデザインが必要なのですか?」
北星の父「それに困っていたから、君達を呼んだんだ。これがプロジェクト内容だ」
プロジェクト内容
編成*3両編成
車内工夫*食堂またはカフェエリアを設置、座席は少なめに設置、揺れは最小限に
内装*白、ピンク、黄を使用
以下略((オイ‼︎
よつば「なんて数…」
北星の父「揺れや台車などはこちらが引き受ける。よつばさんと北星は、内装やデザインを頼む」
北星「…」
よつば「北星さん?」
北星の父「まさか…嫌だったか…?」
北星「…ううん、違うの…」
北星「カシオンとの結婚式が…こんなに大きい式になるなんて思っていなかったから…」
よつば「…」
北星「…お父さん、任せて!」
北星「私が良いアイデアを必ず考えるわ‼︎」
北星の父「助かる、北星」
よつば「そうと決まれば、すぐに始めましょう!」
北星「はい!」
それから30分後…
よつば「あーは言ったものの…いざ考えると、中々無いわね…」
トラル「ミカン、この台車ならどうだ?」
ミカン「うーん…横揺れは良くても、縦揺れが…」
北星の父「もう少し変えてみよう」
よつば「基準を作らないと…内装とかも決める事が出来ないわね…」
北星「基準ですか?」
よつば「えぇ、例えば…一号車は会場とか、いろいろ…」
北星「それなら…これでどうですか?」
よつば「一号車を会場…二号車を食堂車…三号車を待合室とテラス…」
北星「食堂車は間に挟んだ方が都合が良いと思いますし、結婚式の後はテラスでゆっくり景色を楽しむみたいな感じで?」
よつば「これならいけそうね!」
北星「本当ですか⁈」
よつば「えぇ!後は一つ一つの設備を細かく決めて行けば、完成に近づいていくわ!」
こうして、時間はすぐに立ってしまい、気づけば夕方だった。
よつば「もう夕方ね…」
北星の父「今日はこの辺で終わりにしよう」
北星「うん」
北星の父「北星、カシオンには私と会った事を内緒にしてくれ」
北星「え、どうして?」
北星の父「カシオンにはサプライズとして、用意しようとしてるのだ。だから、頼む」
北星「分かったわ」
よつば「あの、北星さんのお父さん」
北星の父「ん?何かね?」
よつば「少しお話しを伺ってもよろしいでしょうか?」
北星の父「何だね?」
よつば「北星さんのお父さんは、何故北星さんを研修なんかに…」
北星の父「その事か…」
よつば「私の知り合いから聞きました。あなたは元はJRのお偉いさんだと…。それが北星さんを昇格試験に来た理由として関係していると…」
北星の父「まあ、その通りなんだ」
北星の父「実はな、本来なら北星は3年後にこの会社を受けるはずだったんだ」
よつば「え⁉︎」
北星の父「元々北星は電車が好きで、職業も鉄道関係を希望していた」
そんなある日の事だった。
北星はカシオンと北星は九州に旅立った後に、一本の電話が来てな。
半年前 北星の自宅
プルルルルルルル…
北星の父「はい、もしもし」
トラル「おやっさん、お久しぶりです」
北星の父「おぉ、トラルか。久しぶりだなぁ」
トラル「えぇ、もう何年ぶりでしょう…」
北星の父「それで、いきなりどうしたんだ?」
トラル「実はですね、九州の社長からの伝言をお伝えしようとお電話しました」
北星の父「社長から?」
トラル「北星さんを、JR九州の車掌に迎え入れたいと…」
北星の父「あ…それがだな…」
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トラル「北星さんが、九州に?」
北星の父「カシオンと一緒に九州で暮らす事になってな…」
トラル「もしかして、結婚式とか挙げられました?」
北星の父「いや、それはまだ聞いてない」
トラル「それなら好都合です」
北星の父「?」
トラル「実は今回、おやっさんに協力してほしいプロジェクトがあるのです」
北星の父「プロジェクト?」
よつば「それが、このウェディングトレイン…」
よつば「じゃあ、北星さんは?」
北星の父「特に大きな理由は無いが…北星がどこまで出来るかを試したかったんだ」
よつば「試すって…」
北星の父「あいつが仕事を投げ出す事なく、しっかり出来るかを確かめたいんだ。苦労はかけるが…北星のためでもあるんだ」
よつば「…」
北星の父「では、私は他の仕事があるから、これで失礼するぞ…」
北星「あ、よつばさん」
よつば「今日はこれで終わりなので、そろそろ帰りますよ。私はまだ夜に乗務があるので」
北星「はい」
そうして、前回の様にカシオン達と合流して、北星は家に帰った。
よつばも同じく、乗務が終わり…家に帰宅するのだが…。
よつば「…試すねぇ…」
よつば「北星さんはそれで納得するのかしら…」
今回はこれで終わりです。
続く…。