みちのく旅行記

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オリジナル物語「電車と二人」プロローグ

この物語はフィクションであり、登場する人物、町の名前はすべて空想です。

プロローグ

機械に心があるなんて誰も信じてくれないだろう。
でも実は、自分の身近に心を持つ機械がいたりする。
ある機械は思う、いつもこの時間に乗ってくれるたった一人の少年の事を。
平日は毎日毎日、一人寂しく少年は暇そうにのんびりしている。
こんな少年に何かしてあげたい、そう思って時が過ぎて、新たな春風が山から舞い降りる。
機械が望んでいた一人の少年の中に、新しいもう一人の少女がそこにいた。
この少年は一体どうなるのか、機械は嬉しそうに音を立てて走り出す。

新しい春の風が吹くこの時。
新しい後輩もやってきて、学校はまた大いに賑わっている。
仲間はいつものように楽しく会話して、雑談もしている。
でも帰る時間はいつもお昼、僕は学校が終われば駅に向かう、たった一人で。

去年のこの時間に乗る電車でお客さんは僕一人だった。
そして新学期が始まった4月、朝はほぼ満員な電車も、僕が帰る時には誰も乗っていない。
いつもこの時間に乗る電車はガラガラ、乗ってるのは僕と…もう一人?。

懐中時計の針は12時半をさしている、普段は誰もいないはずなのに、ドアから乗車したら右に一人いる…。
見た感じだと女子高生、制服は僕の学校とは別の制服みたい、でも一番の疑問は…

彼女がどうしてこの電車に乗っているんだ?

僕が通う学校はすごく田舎にある、実は電車通学してるのは僕だけらしい。いや、正確には朝は電車で通学する人もいるが、帰る時だけは僕しかいない。
ほとんどは親に迎えに来てもらうか、バスで帰る人だ。
実は駅から学校までは1時間以上かかってしまうため、駅から学校までの通学が不便である。
しかもここは、田舎の中の田舎。
電車が走ってるのも珍しいくらいの山中にある学校や駅、ローカル線とかもうそんなレベルとは思えない。
民家は車窓から見てもほとんどない、でもそれが僕が高校に通う理由でもある。

今年からいよいよ高校3年生、僕の名前は小田原 淳(おだわら じゅん)ある理由で中学の時にこのど田舎に引っ越してきた。
趣味はサッカーやサイクリング、あとちょっとした電車オタクとも言われる。
この町の事を説明すると…僕が住む家は中規模くらいの町だけど、僕が通う学校『青葉高校』は150人が通う高校だが、他の高校に比べるとかなり少ない…その上交通機関はかなり不便。
そんな田舎の高校でも、昔に比べたら楽なものだ。
これだけ平凡な日々を平和に暮らせている幸せを、僕は感じてる訳だし。

僕らの学校はお昼で授業が終わってしまう。今日みたいに始業式でお昼には帰れるのは、僕らからしては当たり前なのだ。
理由は交通機関の不便が影響している。僕が乗るローカル線の電車は1日に4本しかない本数なのだ。
朝とお昼、そして残りの2本は夜の8時と10時、まさに学生には合わせてくれない路線。バスも同様、朝とお昼の13時が最後のバスなのだ。
こんなに交通が不便だと、さすがの学校もお昼に終わらざるおえないと言ってもいい。
学校は何度かバスやローカル線の会社に問い合わせたりしてるが、結果的に聞き流されてるらしい。
それだけサラリーマンのお客さんの方が多いから利益があるのだろう。会社は利益優先とも言うから。

そしてお昼の電車はいつもなら誰も乗っていない、まるで空気輸送と言ってもいい。
でも、今日だけはもう一人いた。
座席に腰掛け何かの本を見ている一人の女子高生。
別に一人増えても何にも変わらない、この時までは少なくともそう思っていた。

これは僕らが今に至るまでのお話。

プロローグEND