みちのく旅行記

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オリジナル物語「時空警備隊」 第4話

 

第4話

 

時は再び2700年に戻り、時空警備隊ではココと田代マンによる各時代への調査が始まっていた。

しかし、スバルが予見してたように一筋縄ではいかない事件だった。

最初に判明していた結婚後の行方不明事件、この事件が起きた時代へ調査に向かったが、その行方不明の男が何故かその時代から消えていたのだ。

ココ「田代、これはちとまずいかもな」

田代マン「みたいだな。ここまで見事にやられていては、調査員が気づかないのも納得だ」

2人が調査してるうちにある事が判明したのだ。

このあらゆる時代に渡って嫁いでた男は、何故か嫁ぐ前に飛んで先回りしても、その足取りを追えないのだ。

さらに、嫁いだという事実は残っているが、その証拠が婚約届けの書面だけしか残っていない。

そしてココ達が1番驚いたのは、その行方不明になった男の奥さんが、行方不明になっている事実に気づいてはいるが、それが誰なのかを認識出来ていないのである。

調査の為に警官に成りすまして奥さんから直接詳細を聞き出したりしたが、行方不明の男に関する情報が一切聞き出せなかった上に、遺留品とみられる物も一切なかった。

調査を1度切り上げたココ達だが、既に嫌な予感しかしていなかった。

ココ「奥さんから話を聞いた時は、記憶操作系の能力を持った能力者かと思ったが、それにしては巧妙な手口が多すぎる」

田代マン「遺留品らしき物も無い、そして出会った経緯なども分からず、結婚したという事実しかない。何なら出会う前にも先回りして空振りしとるからなぁ」

ココ「正直これが1人の犯行とは思えないな。だが、複数でタイムワープした場合は必ず痕跡が残るし、こっちの調査員でも気づくはずだ」

時空警備隊にはタイムワープを行った人がどこに移動したのかを追跡出来るシステムがある。

このシステムでほとんどの追跡は可能であり、複数の移動が認められた場合には直ちに調査を行う為である。

但し、単独でタイムワープした場合は稀にシステムで追跡出来ない場合がある。

田代マン「なら、やはり一人か」

ココ「だな。とりあえず急ぎ報告の為に戻ろう」

ちなみにだが、時空警備隊の隊員が元の時代(西暦2700年)に戻るには、手首に付けてる機械を使って単独でタイムワープする必要がある。

この手首に付けてる機械にはタイムワープ以外にも、タイムワープ後対応の時計機能やミッション内容を見る事が出来る機能など、現代のスマホの機能が手首の機械1つで可能なのだ。

そしてココ達はそのまま元いた時代に帰還するのであった。

 

西暦2700年に戻ったココ達は、早速調査結果をスバルに報告した。

ココ「全くダメだった。相手の足取りも追えないし、何なら出会う事すら出来なかった」

田代マン「それどころか、遺留品も見つからない上に、結婚した事と行方不明になったという事実だけが残るってどういう事だ?結婚前に先回りしても会えないっておかしいだろ?」

スバルは深く考え込むと、座ってた椅子から立ち上がって話し始める。

スバル「報告を聞いた限りだと、今回の事は極めて重大なレベルの問題かもしれん。下手したらA級相当の問題かもな。しかも、事実だけ残ってて足取りを追えないなんて滅多にない事だぞ」

ちなみにスバル達が行うミッションは基本的に政府から要請されるものであって、難易度を表す等級がAからEまで存在する。

1番難易度が低いのがEであり、高いとAになる。

特にA級は命の危険が生じる事から、政府からも多額の賞金が貰えたりする。

ココ「そこなんだよ。俺達の時にも1度あったが、あの時は集団で工作してたから事前に発見出来てたが、今回は追跡にも引っかかってない。つまり1人の可能性が高い訳だが…」

スバル「1人でやったにしては出来すぎている。他に何かあったか?」

田代マン「残念だが何もない。俺もココもお手上げってところだ」

結局ココと田代マンの調査でも解決に至る事は出来なかった。

そんな時だった。会議室にふらっと1人の男が入ってきた。

「おぉ、スバル。ここに居たのか」

スバル「なんだ、岡部か。何かあったか?」

スバルと親しげに話す彼は「岡部 茂(おかべ つとむ)」、時空警備隊の主軸である6人と違って大きな超能力を持ち合わせてはいないが、調査隊の一員として働いている者である。

普段からスバル達とは親しげな関係であり、特にスバルからは主要メンバーの1人として迎え入れたい存在であると言われてるくらいだ。

岡部「調べてほしかった調査だが…おそらくココ達と同じ結果だ。全て調査したが空振りだ」

スバル「やはり岡部でも追えない相手か」

ココ「そういえば、ダイキ達はどうした?」

岡部「途中ですれ違ったが、何か気づいた事があるとか言ってて、犯人の現れる前に何度か先回りするのを繰り返してみるとか言ってたぞ」

ダイキ達もココ達と同様に捜査をしており、何度か空振りしてたみたいだが、ダイキだけは何かに気づいたようだった。

ココはその発言を聞いて考えていた。自分達に気づけなくてダイキが気づいた事とは何だと。

ココ「散々俺も探し回ったが、気づく事は何もなかったはずだが…」

スバル「いや、ダイキはいつも突拍子もない事で閃いたり気づいたりするからな。頭はバカだが、その分深く考えないだけに気づく部分が多かったりする」

田代「ほんだったら、ダイキが帰ってくるのを待つしかないよなぁ」

結局ダイキとカブトマンが帰ってくるまで調査は一旦切り上げとなった。

そしてふとしたようにココが話し始める。

ココ「そういや、キウシはどうした?あいつも調査に行ってるのか?」

スバル「いや、キウシには仲間集めに行ってもらってるところだ。おそらく帰ってくるのはしばらく先になると思うがな」

田代「けどよ、そんな簡単に仲間なんて集まるんか?それに集めても俺らと対抗出来るだけの力がなければ烏合の衆だぞ?」

スバル「分かっている。だからこそ、キウシには頑張ってもらうしかない。いざと言う時の戦いの為に今の戦力だけでは難しいかもしれないからな…」

 

そして時は大きく過ぎて、西暦3400年。

この時代は大きな波乱の過ぎ去った後の世界である。

西暦3300年頃から各国でクーデターが多発し、そのクーデターにはポケモンの投入まであった。

ポケモンには軍事的な力が既に備わってたりするポケモンも多くいる事で、それが悪用されると世間で批判の声が上がっていき、次第にポケモンは危険という懸念が生まれ始めていった。

やがて、50年が経過した辺りからその懸念が表に出始め、人々はポケモンを排除しようと行動に出たのだ。

しかし、それがかえって人間の首を絞める事になり、最初は順調に排除が進んでいたものの、ポケモン達もついに人間に対立し、人間を尽くを破壊していった。

やがて人間の世界は衰退していき、3400年より少し前になると、まさに人間は絶滅寸前まで減っていった。

そして絶滅寸前になった人間の理性は歯止めが効かなくなり、制御が効かなくなった人間はついに最終兵器を発動させた。

それが遺伝子爆弾というものだった。

遺伝子爆弾は空気感染式の爆弾で、この爆弾によって炸裂した煙には遺伝子崩壊を促したり、細胞破壊を進行させる猛毒物を含んでる為、体内に取り込んでしまうと、形成されてる遺伝子は分解を始め、さらに皮膚から煙を吸収すれば、細胞の破壊を起こし、体の維持が出来なくなる。

つまり事実上の死である。

核兵器並に危険な爆弾であるが、この爆弾はポケモンだけでなく、人間にも影響する。

その為に開発はされたものの、誰も使う事がなく大量に保存されてたのである。

そして絶滅寸前の人間はこの爆弾を惜しみなく使用していった。

爆弾は設置する物や、ミサイルといった遠距離で爆発させる物など数多く備えていたのだ。

ポケモンはこの爆弾が何の物なのかも知る由もなく、その煙を吸い込んだ事により、3日も経たずに絶命していく。

そしてその爆発は各地で大規模に起き、さらには大気中の風に乗ってその煙は世界中に蔓延していく。

やがてポケモンはほぼ壊滅的に滅んでいったが、人間も言わずとも全滅したのだった。

しかし、こんな状況でも唯一ポケモンの中で生き残った個体があった。

それが1つの個体で9つの姿を持つイーブイ系列であった。

イーブイにはあらゆる遺伝子に変化可能な性質を持ってた事から、その適応能力によって遺伝子崩壊は免れ、細胞崩壊も起こさずに生き残ったのであった。

しかし、イーブイからの進化をしてしまった個体は、既に遺伝子変化を行い適応してしまった為、遺伝子崩壊を防ぐ適応能力が喪失していたので、死から逃れられずに絶命した。

残されたイーブイも命を絶やさない為に食料などを探し求めるが、大陸の大多数は爆弾などによる破壊などで町は既に崩壊しており、イーブイ以外の生き物も死滅している為、まさに食糧難の連続だった。

それに耐えきれなくなった個体は自ら命を絶ったり、仲間を襲ったりして共食いをするなどまさに地獄絵図のような光景が繰り広げられていた。

そんな中で、10匹程度のイーブイ達はそんな大陸から逃れる為に、人間が残した木製の船で大陸から海へと場所を移す。

しかしそれでも食糧難が無くなった訳もなく、海から行き着く先に食料があるとも限らなかったので、もはや海の流れに任せて寝て行き着く先を待つしかなかった。

そんなイーブイ達まさに意識が薄れゆく中、船が何かに乗り上げる音を聞いた。それを聞いたイーブイ達はヨロヨロと立ち上がり辺りを見渡す。

するとある島に辿り着いていた。

どこかも分からないが、見渡す限りは無人島のようであった。

そして、爆弾による被害も無く、まさに安全地帯のようなものだった。

そしてその中でもイーブイ達が直視していたのは、まさに島の木に実がなっていたバナナやリンゴなどの果物、つまり食料だった。

それを見つけたイーブイ達はもう飛びつく勢いで船から降りて、食べ物へ一直線だった。

幸い島には多数の作物が存在しており、島に辿り着いたイーブイ達が生活していくだけの量は十分にあったのだ。

そしてイーブイ達はその無人島を拠点として開拓していき、人間の文明から学び得た家などを建築したり、畑を耕したりと生活を安定させていく。

それから10年が経った頃でついに3400年を迎える。

島はまさに無人島から少数のイーブイ達で暮らす島へと変貌し、爆弾の影響がないと分かった事で、イーブイ達の中には次第に進化していき、中には子孫を残す個体も増え始めていた。

そしてそのイーブイ達の中には絶滅した人間の言葉などを話せるようになったイーブイもいた。

元々本などを読みたいと、自ら学んで自然と覚えた子だったが、その子はイーブイからグレイシアに進化し、いざという時に身を守る為の護身として、自分達と同じように島に流れついていた、まさに不法投棄されたであろう酷く錆びた刀を使うようになっていったのだ。

その名は「アラン・ラングレイ」と言い、この島に辿り着いたイーブイ達の中では最年少だった。

爆弾による被害で幼くして家族を失い、泣きながらも他のイーブイ達について行くしか無かった子だが、今は町を守る警備みたいな役割をしていてとても頼もしく成長していた。

そして錆びた刀も、磨けば本来の刀としての役割が多少取り戻せる事が分かったアランは、試行錯誤しながら刀を色々な物で磨いた。

そうして時が経つにつれて気づいた頃にはほぼ元通りのように、錆も取れて切れ味もそこそこ良くなっていた。

性別は女の子だが、猛々しく育った影響もあり、かなりの武闘派でもある。

そして次回、このアラン・ラングレイ、ミカン、佐藤キウシが入り交じる事になるのだが、それはまた次回へ。

 

再び時代は2700年頃に遡る。

キウシを送り出したスバルは、キウシの装着している端末のシグナルがロストしてる事に気づき、捜査とは別で対応にあたっていた。

スバル「キウシの反応はまだ掴めないのか?!」

スバルが対応にあたっている場所は、各隊員のシグナルを管理している部署だった。

救援や非常事態があった場合には、この部署を通して各自が持っている端末に呼びかけなどを行う。

そしてシグナルがロスト(消える)すると直ちにスバルに知らされ、本来なら飛んだ時代へ向かって捜索を行うのだが、今回の場合はそれが出来なかった。

スバル「やはり未来へ飛ばした事が仇となってしまったのか…」

今までは過去のみタイムワープをしていた為、端末が未来からのシグナルを拾う事を想定していなかったので、キウシがタイムワープ中にロストした事になっている。

そしてどの時代に飛んだかも判明していない。

スバル「確かに端末は未来からのシグナルを拾う事を想定してはいない。だからどの時代に飛んだかは不明だが…それでも生きてる事を知らせるシグナルは機能しててもおかしくないはずだ。それが何故そっちも機能してないんだ…」

スバルは捜索隊を出したくても、どの時代に飛んだかが分からない為、今はただ待つしかないのだ。

スバル「仮にタイムワープでどこかに飛んだとしても、端末にはこっちに戻る為の機能がある。今はキウシが戻ってくるまで待つしかないか…」

スバルは一時的にキウシの捜索を中断させ、ひとまずココ達の調査を整理するのに専念した。

 

つづく